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研究内容RESEARCH


本研究室の研究テーマの一部をご紹介します。

1. 単相同期化力インバータの開発と、マイクログリッドの構築(シミュレーション実機実験

研究の概要
電力システムの末端は単相交流配電線で構成されていますが,単相交流では同期安定性を実現できません。従来の技術では災害時に太陽光発電など単相電源を活用する方策には限界があります。本研究室ではこの問題を解決する、新しいインバータ「単相交流同期化力インバータ(Single-phase Syhnchronous Inverter: SSI)」を開発し, 電力システムの強靱化(レジリエントシステム)を目指しています。


SSI

このSSIを用いて,単相交流マイクログリッド(Single-phase Microgrid: SMG)を構築するためのインバータ内部の制御系設計などの技術開発を行いながら、広島大学工学部研究教育棟をモデルとした実証試験を行っています。


Study

開発ツール・計器:
Mathworks MATLAB/Simulink 2021b link
Mywayプラス 回路シミュレータPSIM v11.0 link
Mywayプラス パワエレ用開発ツール PE-Expert4 6台 link
Mywayプラス HIL402 link
Mywayプラス 非絶縁型双方向DC-DCコンバータ pOCEAN 5台
菊水電子工業 交流安定化電源 PCR1000LE 3台 link
菊水電子工業 交流電子付加装置 PCZ1000A 3台 link
YOKOGAWA スコープコーダ DL-950E 1台 link
YOKOGAWA ミックスドシグナルオシロスコープ DLM5000 1台 link
YOKOGAWA スコープコーダ DL-850E 2台 link
YOKOGAWA プレシジョンパワーアナライザ WT-1800 2台 link


主な関連論文:
[1] 餘利野 直人, 水津 卓也, 西花 聡一, "単相マイクログリッド構想―次世代の配電系統構築への挑戦―," 電気学会誌, Vol.42, No.1, pp.20-21, 2022.
[2] 餘利野 直人, 関 真也, 足立 虹太, 佐々木 豊, 造賀 芳文, 清水 敏久, "単相交流マイクログリッド構想," 電気学会論文誌B, Vol.142, No.1, pp.14-22, 2022.
[3] 関 真也, 餘利野 直人, 佐々木 豊, 造賀 芳文, 清水 敏久, 西 一郎, "Latched limitを用いた過電流保護機能を備えた単相同期化力インバータ," 電気学会電力技術・電力系統技術合同研究会, PE-21-127,PSE-21-140, オンライン, 2021年9月21日〜22日

関連する助成金:
[1] 基盤研究(A) "実機を用いた単相交流マイクログリッドの構築," 2020年-2022年 link
[2] 基盤研究(B) "単相交流マイクログリッドの構築," 2017年-2019年 link
[3] JST CREST "「太陽光発電予測に基づく調和型電力系統制御のためのシステム理論構築」のサブテーマに参画," 2015年-2020年 link
[4] JST CREST "パワーデバイスレベルまで考慮した高精度なシミュレーション技術に関する基礎的理論および方法論の構築," 2013年-1015年 link
[5] 若手研究(B) "不確定リソースの大量導入に対応する同期化力付インバータモデルの開発," 2012年-2013年 link

2. 次世代マイクログリッド向けエネルギー需給制御マネージャの開発(シミュレーション

研究の概要
カーボンニュートラルの観点から再生可能エネルギー電源(Variable Renewable Energy: VRE)に注目が集まっています。一方, VREは気象条件により出力が不確定となり, 計画的な出力制御を行いながら電力供給の安定化を図っていく必要があります。正確な予測ができれば,既存火力発電機機や水力発電機機,および定置用蓄電池(Battery Energy Storage System: BESS)や電動車両(Electric Vehicle: EV)のより効率的な運用計画が可能となります。


DSManager

本研究室では、AI/機械学習を用いたPVおよび電力負荷の予測手法を開発し, 予測に基づくロバストな需給計画法と, 実行可能領域の概念に基づくリアルタイム運用手法を提案し, モデル予測制御を用いた高度な需給制御によるエネルギー管理に必要となる総合的な需給制御シミュレータ(電力需給マネージャ)を開発しています。

EMS

開発ツール:
Mathworks MATLAB/Simulink 2021b link
IBM ILOG CPLEX Optimization Studio v12.10 link


主な関連論文:
[1] 谷岡 佳紀, 佐々木 豊, 松本 宗一郎, Mumbere Kihembo Samuel, 福原 敦, 関 真也, 餘利野 直人, 造賀 芳文, “地域コミュニティにおける複数の蓄電池を用いた電力融通制御に関する研究,” 電気設備学会論文誌, Vol. 41, No. 3, pp.19-28, 2021. Link
[2] Yutaka Sasaki, Makoto Ueoka, Yoshifumi Zoka, Naoto Yorino, Ahmed Bedawy, Samuel Kihembo Mumbere, “Dynamic Economic Load Dispatch with Emergency Demand Response for Microgrid System Operation,” Proc. of the 22nd International Middle East Power Systems Conference (MEPCON), Dec. 2021.Link
[3] Samuel Mumbere Kihembo, Yutaka Sasaki, Naoto Yorino, Yoshifumi Zoka, Atsushi Fukuhara, Ahmed Bedawy and Yoshiki Tanioka, “Prosumer Control Strategy for A Robust Microgrid Energy Management System,” IEEE PES Innovative Smart Grid Technologies Conference 2021 (ISGT Europe 2021), Oct. 2021. Link
[4] Yutaka Sasaki, Naoto Yorino, Yoshifumi Zoka, Imam Farid, "Robust Stochastic Dynamic Load Dispatch against Uncertainties," IEEE Transactions on Smart Grid, Vol.9, No.6, pp.5535-5542, 2018.Link
[5] 佐々木 豊, 餘利野 直人, Imam Wahyudi Fardi, 清木場 大, 朝田 光雅, 馬 立英, 造賀 芳文, "ローカル電力需給制御に適した太陽光発電量の予測手法, 電気学会論文誌B, Vol.137, No.7, pp.538-545, 2017.Link


関連する助成金:
[1] 基盤研究(C) "マイクログリッド実現のためのロバスト電力需給制御マネージャの開発," 2021年-2023年 link
[2] 基盤研究(C) "電力需給制御マネージャの構築に関する研究," 2018年-2021年 link

3. 不確定環境下における電力システムのロバスト信頼度に関する研究

研究の概要
電力システムに太陽光発電が大量に導入された場合,配電系統の電圧調整,出力変動を吸収する調整力不足や周波数変動等の供給信頼度に関する問題が指摘されています。現在,世界的にN-1信頼度基準が採用されていますが,系統運用において,N-1基準とは過負荷,電圧上下限,電圧安定性,過渡安定度,周波数変動(需給バランス制約)といった制約条件を満たすことです。このN-1信頼度基準を満たす運用領域(発電機の出力領域)を静的信頼領域(SS領域:Static Security Region)と呼び,特定の時間断面で定義しました。次に,太陽光発電の予測誤差を考慮し,この変動パラメータ の不確定性が存在しても信頼度が満たされる運用領域をロバスト静的信頼領域(RSS領域:Robust Static Security Region)と定義しました。

Robust
当研究室では,過渡安定度解析および太陽光発電の不確定出力範囲を考慮した, 新しい信頼度指標を提案しました。

開発ツール:
Mathworks MATLAB/Simulink 2021b link
IBM ILOG CPLEX Optimization Studio v12.10 link

主な関連論文:
[1] 兼岡 新司, 餘利野 直人, 佐々木 豊, 造賀 芳文, 奥本 芳治, "太陽光発電・電力需要の予測信頼区間を考慮した電力系統のセキュリティ評価に関する研究," 日本オペレーションズ・リサーチ学会秋季研究発表会論文集, No.2-C-7, 2019.
[2] Shinji Kaneoka, Yutaka Sasaki, Naoto Yorino, Yoshiharu Okumoto, Yoshifumi Zoka, "Robust Power System Security Assessment Under Uncertainties of PV Penetration," Proc. of Japan council for Renewable Energy, 2018.Link
[3] Naoto Yorino, Abdillah Muhammad, Yutaka Sasaki, Yoshifumi Zoka, "Robust Power System Security Assessment under Uncertainties Using Bi-Level Optimization," IEEE Transactions on Power Systems, Vol.33, No.1, pp.352-362, 2017.Link

関連する助成金:
[1] 基盤研究(C) "電力系統のロバスト信頼度に関する研究," 2014年-2016年 link

4. 電力システムにおける高速・高精度な過渡安定度解析(臨界トラジェクトリー)法に関する研究

電力システムは常に雷などの外乱にさらされており,多数の想定故障下で発電機の安定度を高速かつ高精度に解析する必要があります。従来の過渡安定度解析手法として,シミュレーション法とエネルギー関数法が存在し,状況に応じて使い分けられています。前者は系統の状態を逐次的に計算していき,その挙動から正確に安定度判別を行えるが,長い計算時間が要求されるという欠点があります。後者は1度のシミュレーションを行うだけで,臨界故障除去時間(CCT:Critical Clearing Time)を求めることができるため高速計算が可能ですが, 精度が悪いという前者とは逆の特徴を有している。これに対して当研究室では,系統の安定限界に相当する動揺方程式の解を計算し,CCTを求める手法を開発している。


臨界トラジェクトリ

開発ツール:
Mathworks MATLAB/Simulink 2021b link
電力計算センター 電力系統安定度解析システムPOPONAS link

主な関連論文:
[1] Popov E. Hristov, Naoto Yorino, Yutaka Sasaki, Yoshifumi Zoka, Hiroaki Sugihara, "Robust Method for Detection of CUEP in Power Systems," IEEJ Trans. on Power and Energy, Vol.134, No.2, pp.162-169, 2014. Link

5. 発電事業者群の戦略的行動に基づく前日市場シミュレータの開発

作成中・・・


開発ツール:
Mathworks MATLAB/Simulink 2021b link
主な関連論文:
 作成中・・・


その他の実施中研究テーマ

FACTS機器の最適配置に関する研究
系統運用への寄与に基づく無効電力価値の算出に関する研究
モデル予測制御を用いた負荷周波数制御(LFC)に関する研究
分散電源の不確定出力に柔軟に対応する次世代型システムの研究
過渡安定度を考慮した最適潮流計算法に関する研究
停電作業計画に関する研究
サポートベクターマシンを用いた電力系統安定化装置(PSS)制御に関する研究

過去に実施した研究テーマ

社会インフラの観点から見た送電設備形成と運用法に関する研究
不確実性を考慮した水力発電用貯水池の運用最適化に関する研究
送電可能容量ATCの計算法に関する研究
電圧安定性評価に関する研究
分散型電源の運用配置計画
分散型電源の導入による経済効果に関する研究
マイクログリッドの安定性に関する研究
マイクログリッドの電圧制御方式の研究
電気自動車の導入が需要家の経済性に及ぼす影響に関する研究
電気自動車の普及が需要家負荷カーブに与える影響に関する研究
配電系統内開閉器の最適設置に関する研究
自然変動電源を所有する発電事業者の利益最大化に関する研究
低速制御器と高速制御器の協調制御に関する研究
自然変動電源を含む電力システムの信頼度評価
配電系統における復旧人員コストと自然変動電源の導入を考慮した設備計画


広島大学
大学院工学研究科
電力・エネルギー工学研究室

〒739-8527
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TEL. 0824-24-5724(山内秘書)
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